研究内容(Research)

プロトテカ性乳房炎に関する研究
Prototheca(プロトテカ)はクロレラに近縁な単細胞の藻類ですが、葉緑体にクロロフィルを欠くため、光合成を行わない従属栄養生物です。有機物が豊富で湿潤な環境を好み、海水、湖水、河川水、様々な植物材料、土壌、糞便、乳汁など広範な検体から検出され、ときに動物や人に感染症を引き起こします。
特に牛では、農場内に定着して乳房炎の原因となることがあり、難治性であることから、発生時の経済的被害が大きくなります。プロトテカによる牛乳房炎では、牛群内に病原体が拡散する恐れがあるので、治療的処置は推奨されておらず、感染乳房に対する盲乳処置や感染牛の淘汰が現実的な対応となっています。
プロトテカ感染症については不明な点が多いことから、当ユニットでは早期診断法や分子疫学解析手法の開発などに関する研究を行っています。

バクテリオシンに関する研究
バクテリオシンは、主に類縁菌に対して抗菌活性を示すペプチドであり、乳酸菌などのグラム陽性菌が産生することが知られています。
そこで、私たちは乳房炎に罹患した牛の乳汁からバクテリオシン産生株を分離・同定し、細菌感染症に対する治療薬として実用化することを目指して研究を推進しています。
