研究室紹介(About Us)

 畜産の生産性を高めるためには家畜の損耗要因となる家畜疾病の発生を防止する必要があります。特に、牛の乳房炎は主に細菌などの微生物が乳房内に侵入、増殖して乳腺組織に炎症を引き起こすもので、乳質と泌乳量の低下を招くことから重要な家畜疾病の一つです。国内の乳牛において乳房炎は傷病事故の約30%、死廃事故の約7%を占め、牛乳の廃棄、治療、淘汰等による損失は年間500億円以上といわれており、酪農産業に甚大な経済被害をもたらしています。

 主要な病原体である細菌の中で分離頻度が高いのは黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、マイコプラズマ、大腸菌群等です。我が国でも乳房炎研究の歴史は古く、診断、治療、予防に関する多くの研究が精力的に行われてきましたが、細菌学的観点から体系的に行われた研究は少ないのが現状です。特に臨床現場でコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulase-negative Staphylococci、CNS)や無乳性レンサ球菌以外のレンサ球菌(Other Streptococci、OS)と表現される菌群の病原性については菌種ごとに検討されておらず、実態は十分明らかにされていません。また、予防を目的とした対策資材の開発には検討の余地が多く残されています。さらに、抗菌薬による乳房炎治療については、薬剤耐性菌の蔓延を防止する観点から慎重に行う必要があり、抗菌薬に代わる予防・治療法の開発が強く求められています。

 したがって、当研究室では以下のようなテーマについて研究を行っています。

・質量分析計による乳汁由来細菌の迅速同定技術の開発

・乳房内細菌叢の解析

・主要な乳房炎起因菌の分離・収集とゲノム解析に基づく特性解明

・主要な乳房炎起因菌の環境抵抗性(莢膜・バイオフィルム形成能、薬剤耐性等)の解析

・乳房炎の予防・治療技術の開発

画像出展:Pexels (一部の画像等はAIによって生成されたものを利用しています)
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